2022.12.29

研究者・萩原真美の10大ニュース2022【前編】

 2022年も残りあとわずかとなりました。皆さんにとって、どんな一年だったでしょうか。私にとって2022年は、新たな出会いとアウトリーチの機会に恵まれた一年でした。

 本ブログは、研究や教育に関する情報をお届けすることを主な目的としていますが、研究者としての一年を総括してみたいと思い、2022年の10大ニュースとして振り返ろうと思います。まず前編として、10位~6位をお届けします。

10位 Twitterで初バズる(2/20)

 私は中高の教員をしながら博士課程に進学したのですが、ストレートで博士課程に進学した方に、「仕事をしながら博士課程に通うこと=研究に一点集中していない」というマイナスなコメントをいただいたことがありました。他のツイートを見ていた時になぜかこのエピソードを思い出し、「自分で学費払って自立して研究していることを否定されるのはいかがなものか…」という趣旨のことをギュっと凝縮してつぶやきました。
 何気なく呟いたことで、自分としてももう何とも思っていないことだったのですが、いろんな方に「刺さった」ようで、いわゆるバズってしまいました。
 そのおかげでフォロアー様が一気に増え、おそらく1000人以上になったかと思います。私の研究に関心がある方ではない、さまざまな立場の方に共感していただき、幅広い方からフォローしていただけたのは、ある意味「怪我の功名」のようなものです。この場を借りてお礼申し上げます。

例のツイートは以下の通りです。

9位 地理学科同期のLINEグループ誕生(5/28)

 恩師の一人である熊谷圭知先生の最終講義に代わる講演会が、コロナ禍の影響で2年遅れで開催されました。その講演会にかけつけた同期が多く、懐かしく話をするなかで、LINEグループを作ることに。当日会った人以外にも、互いにつながっている仲間に声をかけあった結果、3分の2くらいの仲間とつながることができました。
 同窓会関係や地理関係の情報共有はもちろんのこと、時々日常のたわいないやりとりもでき、同級生ならではの懐かしさと気楽さがとても心地よく感じています。友達の存在はいくつになってもありがたいです。

8位 野間教育研究所70周年記念論文刊行(5/31付)

 2019年1月、野間教育研究所の70周年記念論文の日本教育部門に採択の運びとなり、助成をいただいて研究を進めておりました。コロナ禍の影響により、採択された研究者の進捗状況が思わしくないことを受け、当初よりも大幅に刊行が遅くなりました。晴れて2022年5月31日に刊行の運びとなりました。
 「占領下沖縄群島における新制中学校の設立に関する研究」という題目で執筆しました。査読を師匠(米田俊彦先生)と師匠の師匠(寺崎昌男先生)にしていただくという貴重な機会となり、大変勉強になりました。
 同論文では、戦後教育改革の事象の一つである新制中学校の設立について、沖縄群島の状況を論じたものです。博士論文で、沖縄の六・三・三制導入について解明しましたが、新制中学校については論じ切れなかったので取り組みました。沖縄の戦後教育には困難がつきものですが、新制中学校も例外ではありませんでした。独立校舎が少なく小中併設型が多かったことを明らかにし、特に中3の出席率が非常に低かったことを論じました。その背景には、軍用地化が大きく影響していることが分かりました。

7位 足立区での講演会「占領・復帰から考える沖縄の教育格差とその背景」開催(9/4)

 本務校と足立区の地域連携講座を行っているのですが、今回は日本本土復帰50周年特別講座としてお声がけいただきました。担当の方が、拙著『占領下沖縄の学校教育』をお読みいただき、オファーをしてくださったとのことです。大変嬉しいオファーでした。
 講演会のテーマは、「占領・復帰から考える沖縄の教育格差とその背景」。当日は、暑い中20人ほど参加してくださいました。オンラインではつながりがありましたが、リアルで初めてお会いできた方、大学生・大学院生といった20代の学生さんから70代の方までと、幅広い世代の方にご参加いただきました。本当にありがとうございました。

講演会のチラシ

第6位 人生初の新聞単独取材(3/7) 

 2月下旬頃、大学のお問い合わせフォーム経由で新聞の取材依頼をいただきました。お問い合わせフォームから、私個人へご依頼をいただくことは今まで経験がなかったので、大変驚きました。
 依頼をいただいたのは、北海道新聞の東京支社様。復帰50周年ということで、占領下の沖縄の教育状況、特に歴史教育の事情について取材を受けました。取材にきてくださった記者の方が、拙著を持参されていました。お読みいただいたうえで取材をしてくださり、また当時の状況を丁寧に理解しようとしてくださる姿勢に、こちらも熱が入ってしまいました。
 

新聞に掲載された写真。手にしているのは、副読本『沖縄歴史』(文教部、1949年(推定))のレプリカ

 こうして振り返ってみると、自分の研究内容について、学会や研究発表以外の場でお伝えする機会に恵まれたと思っております。また、博士論文で積み残していた研究について、成果を出すことができ、ほっとしています。
 後編では、第5位から第1位までをお届けする予定です。

 

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